働き方改革、実は「休息改革」!

2019年05月30日更新

「働き方改革」での時間設定。これは休む時間から算出されている時間なのです。

働き方改革、実は「休息改革」!

安倍内閣が進めている「働き方改革」の中にある「長時間労働の是正」。残業時間の上限を「原則月45時間」かつ「年間360時間」とし、繁忙期など特例で「100時間未満」「2~6カ月平均80時間以内」「年間720時間」とすることが決まりました。

この特例の「残業80~100時間」が、どうやって導いた数字かご存知ですか?これは一日の睡眠時間が「5時間」を確保できるギリギリの数字なんです。※

 

必要な睡眠時間には個人差はありますが、一般的に一日の睡眠時間が5時間を切ると体に様々な悪影響が出始めるとされます。働き方改革で労働時間を制限するのは、「休む時間を確保する」こととイコールです。睡眠は心と体を回復させます。たっぷり眠ることは翌日の活動に繋がり、労働の生産性をUPさせることにも繋がります。

 

日本人は昔から「休まずに働くことが美徳」といった風潮がありますよね。その結果、睡眠不足になり現代病といわれる「生活習慣病」「うつ」「アルツハイマー」などの病気が増えている要因にもなっています。

 

働き方改革とは、「働いている時間」に目を向けるのではなく「休む時間」に注目したものであるというメッセージが読み取れます。ただ、こういった制度を作るだけでは世の中は変わりません。個人ひとりひとりが「休むことの大切さ」を自覚して、ゆっくり過ごす時間を作ってくださいね。たっぷりと眠って、朝起きて太陽の光を浴びましょう。朝日を浴びると幸せホルモンであるセロトニンが分泌され、意欲的になり活動のエンジンがかかります。その日のお仕事を頑張る原動力になってくれるはずです!

 

※月の残業時間100時間とした場合、100時間÷就業日数20日=5時間(1日の残業時間)

【一日の労働時間8時間】+【休憩時間1時間】+【残業5時間】+【通勤、食事、家事など仕事以外の時間5時間】+【睡眠時間5時間】=24時間

この記事の監修

内村先生

内村 直尚(うちむら なおひさ) 先生

久留米大学医学部長

国内トップレベルの睡眠研究チームを率いる睡眠障害のエキスパート。睡眠障害の研究に加え、統合失調症やPTSD、うつ病などの精神疾患に伴う睡眠障害についての検討も行い、臨床、研究の両面で高いレベルの医師の育成にも注力している。