復刻「ラジオ体操」のススメ①
2018年03月09日更新
ラジオ体操にどのようなイメージをお持ちでしょうか。子供たちに強制するのは抵抗がありますか。子供たちを思うなら、あの方々と一緒にラジオ体操を復刻させましょう。
復刻「ラジオ体操」のススメ①
ラジオ体操を強制したくない気持ちは「虐待」
日本では、昭和3年(1928年)に最初の放送がなされた「ラジオ体操」。大袈裟ですが、このラジオ体操が絶滅の危機に面しています。特にお子様の理想的な睡眠を語る上で、ラジオ体操はノーベル賞ものの健康法なのです。
ここまで読んで、「ラジオ体操で早起きすれば睡眠が改善される。それだけでしょ?」と予想した方も、最後まで読むときっと明日からラジオ体操をお子様に勧めたくなることでしょう。
日本人ならラジオ体操のあの音楽を聴くと体が勝手に動くことでしょう。小さい頃に無理やり通わされ、どちらかと言えばネガティブなイメージから、我が子には強制したくない、休みの日ぐらいゆっくり寝かせてあげたい、そう考える親御さんも多いのではないでしょうか。
実はそれ、「虐待」ですよ。
人間の体内時計は、起床16時間後に睡眠誘導ホルモン(メラトニン)が分泌されるように設計されており、換算すると22:00就寝のために6:00に起床することが推奨されます。また2時間の遅寝や遅起きは日本に居ながらの時差ボケを生じさせます。朝ゆっくり寝かさておきながら、夜早く寝なさいと指令を下す、私はこれを「虐待」と位置づけます。夜早く寝かせたいなら、朝早く起こしてあげるべきなのです。すなわち「早起き→早寝」。
朝、すっきり起こすためには、光、食事、運動、人とのコミュニケーション、環境(温度や湿度)のメリハリが重要です。そう、もうお分かりでしょうが、ラジオ体操が適役なのです。
近年、子どもたちのラジオ体操が絶滅の危機にさらされています。理由は、「休みの日ぐらい寝かせてあげたい」という建前に隠された「面倒さ」ではないでしょうか。子供たちだけで実施させるわけにはいかず、誰か大人が付く必要があり、それがいつしか面倒さになってしまっているのではないでしょうか。
この理由が、子どもたちの記憶と身体や心の成長を阻んでいるのです。
とは言え、休みたい、が本音でしょう。
その解決策に、強力な助っ人を紹介します。地域のお年寄りの方々です。
人間は年齢とともに睡眠のリズムが前進し、朝型になり、お年寄りが朝に強いという現象を生じます。有り余るご年配の方々の朝のパワーを社会貢献につなげるのです。たまには子供たちを人生の先輩方に託してみませんか。
私がお勧めする理由は、これだけに留まりません。(つづく)
⇒【次記事】復刻「ラジオ体操」のススメ②「お年寄りとのラジオ体操で得られるのは『〇』」
http://www.saffron-lab.jp/usefulinfo/313/
この記事の監修
内村 直尚(うちむら なおひさ) 先生
久留米大学医学部長
国内トップレベルの睡眠研究チームを率いる睡眠障害のエキスパート。睡眠障害の研究に加え、統合失調症やPTSD、うつ病などの精神疾患に伴う睡眠障害についての検討も行い、臨床、研究の両面で高いレベルの医師の育成にも注力している。